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マーサについて その2



マーサが我が家にやってきてから、連れていかれるまでの二週間、思いは複雑でした。

うちはただ迷い犬を保護してるだけ。警察にも保健所にも届けてあるんだし、そのうち
飼い主が現れるだろうから、そのときはお返ししないといけない。

でも、二日たっても三日たっても一週間たってもなんの連絡もありませんでした。

誰も探してないのかな。ひょっとしたら捨てられたのかな。だったらこのままずっとうちで飼えるのに。
そう思うようになっていきました。

ひとつ気になることがありました。それは'おもらしグセ'。
おっしこをするとき、隠れるように何箇所もでチョビチョビするのです。
まるでおしっこをすることが悪いことのように、怯えながら。
子犬はおしっこを失敗するのが当たり前、そうやってるうちにだんだん上手にできるようになっていくものです。
失敗したときに強く叱ると、子犬は失敗したことを怒られたとは思わず、おしっこをしたことを怒られたと勘違いして、こそこそ少しずつあちこちでするようになります。
まさにそれでした。
相当厳しく叱られていたのかな、と感じました。

葛藤していました。。このままこのハスキーとずっと一緒にいたい。
「うちの犬になる!」という直感はしたものの、そんなの確信でなし。
悪いと思いながら飼い主が現れないように願いつつ、名前をつけました。
「マーサ」・・・ビートルズの名曲、私の大好きな「マーサ・マイ・ディア」からとりました。
マーサという名の女の子を歌った歌です。後で知ったんですが、ポール・マッカートニーの犬もマーサだったそうです。

マーサが来てからそろそろ二週間がたとうとしていた頃にあの日はやってきました。
町内にある某会社の社員だという男性が、社長さんに付き添われて、突然うちを訪ねてきました。
マーサはその男性の犬だというのです。、一ヶ月前から会社の独身寮で飼い始め、半月ぐらいたったあと行方不明になっていたという。社長さんの奥さんが、私達がマーサを車に乗せて出掛けるところを偶然見たのだそうです。
偶然見た???探してなかったの?私達は警察にも保健所にも届けてあったのに。
私は混乱してしまいました。

なんで二週間もほかってあったのか、その問いかけには答えず、男性はどうしてもマーサを返して欲しい
と言います。
本当の飼い主が現れて、返してくれと言っているのだから仕方ありません。
だけどこの男性はマーサを可愛がってるのか。マーサは幸せなのか。
雰囲気的にそうは思えませんでした。マーサも懐いてなさそうでした。男性を見るなり、机の下に隠れたのです。

社長さんが男性に言いました「ここでこのまま飼ってもらったらどうだ?その方が幸せだと思うぞ。」
男性はきっぱり断り、マーサを連れていきました。
「可愛がってくださいね・・・。」泣きながら、私はそう言うのが精一杯でした。


この続きは次回