またまた続きです。
マーサがいなくなってから、何も手につきませんでした。
頭の中はマーサでいっぱい。
どうしてるんだろう?大事にしてもらってるだろうか。
男性が迎えにきたとき、マーサは全然喜んでいませんでした。
むしろ怯えていました。少なくとも私達にはそう見えました。
あのまま意地でも渡さないほうがよかったんだろうか。
フィラリアの予防や混合ワクチンの接種はしてもらえるんだろうか。
いろんな心配や後悔が渦巻いて胸が張り裂けそうでした。
次の日、我慢できず、私は社長さんに電話をしました。
「あの・・・山口です。昨日はどうも・・・。あのハスキーは元気にしてますか。
もしよかったら、これからはフィラリア予防もワクチン接種もうちでやりますので、
あの方にそう伝えていただけますか?」
「わかりました。」社長さんは静かにそうおっしゃいました。
それから二日たち、急展開になりました。
社長さんから電話があり、
「おたく、あのハスキー欲しいの?」そう尋ねるのです。
「ええ!そうなんです!欲しいんです!」私は夢中で飛びつきました。
「実はね、あのハスキーの本当の飼い主はうちの従業員ではなく、別の人でね、
その人にこれまでのことを話したら、是非その奥さんに飼って欲しいと言われてね。」
!!!
なんてこと!そんな願ってもないこと!
ことはこうでした。
J町のKさんというお宅のハスキーが産んだ子犬を欲しくなった男性が、
「社長が飼いたいと言っている」と嘘をついてもらってきたのでした。
男性の言うことがいまいち信じられなかったKさんは、一ヶ月後に必ず見せに来るということを条件に
固い約束をして子犬を渡したのだそうです。
が、もらってきてから二週間で逃げられ、期限の一ヶ月がせまったときにちょうど社長の奥さんがうちにいるのを見つけてくれたというわけでした。意地でも返してほしかったはずです。
社長さんからことの顛末を聞いたKさんは、男性が嘘をついたことと、子犬を行方不明にしたあげく、ほかっていたことに御立腹しているといいます。
動物病院で保護されていたこと、迎えに行ったときそこの奥さん(私)が大泣きしたこと全部聞いた上で、
「そこで飼ってもらいたい」とおっしゃたというのです!
マーサは現在Kさんのところにいるから、私に来て欲しいとのことでした。
あくる日、さっそく社長さんは私をKさんのところへ連れて行ってくれました。
車中、あの男性は短期で雇った人だということ、全国を転々とする暮らしをしているということ、もう今は別の職場に行ったことなどを教えてくれました。
「やたらに叱りつけたり、気まぐれな可愛がり方をしてたけど、あれでも彼は彼なりに可愛がっていたんだよ。」
私もそう思う。
マーサを飼いたかったけど飼えなかった男性。
これから飼えることになった私。
マーサを迎えに行ける幸せの絶頂にいながらも、複雑な気持ちになりました。
この続きは・・・次回。
あなたの大切な「家族」を守ります