ちょおおおっと間が開いてしまいましたがっ
前回の続きです☆
痒みの強い皮膚疾患
痒みの強い皮膚疾患は以下のものがあります。
(1)ノミアレルギー性皮膚炎
ノミの唾液に対するアレルギー反応によって痒みを引き起こす病気。背中や腰に症状が現れやすい。
(2)疥癬(かいせん)
ダニが皮膚に穴を掘って寄生することで非常に強い痒みを引き起こす病気。
(3)マラセチア性皮膚炎
マラセチアという真菌に感染する病気。皮膚が赤くなったり、痒みを引き起こす。
(4)膿皮症
皮膚の細菌感染により、炎症が起こる病気。
(5)犬毛包虫症(アカラス)
毛包内にニキビダニが寄生することによって脱毛や皮膚が赤くなる、フケといった症状が口や目のまわりから首へと広がり、
ひどくなれば胴や四肢など全身に広がっていく。成犬で発症した場合、完治が困難な場合も。
(6)食物性アレルギー性皮膚炎
アレルゲンとなる食物に反応し、痒みを引き起こす。(抗原のなかでは、タンパク質がもっとも一般的)
療法食により、アレルギー反応を減らすことは可能。
(7)アトピー性皮膚炎
環境中のアレルゲン物質に反応し、痒みを引き起こす。
(1)~(5)までの病気については原因を排除する治療を行うことで完治が望める病気であるといえます。
食物アレルギーであるかどうかを判断するにはアレルギー検査の他、療法食と水だけを約2ヶ月間与えてみて、経過を見るのが一般的です。
そして、(1)~(6)のいずれでもない場合にアトピーの可能性が非常に高くなります。
アトピーの治療
アトピー性皮膚炎は完治が非常に難しい病気ですが、だからといって諦めて何もしなければ
症状は悪化していく一方ですので、アトピーと上手に付き合って痒みを減らして、愛犬の苦痛を和らげてあげる治療を考えてあげましょう。
アトピーの治療法はいくつかあり、それぞれにメリット・デメリットがあるので、飼い主さんもよく理解をする必要があります。
(1)ステロイド(副腎皮質ホルモン)
メリット
・即効性があり、有効性も高い
・安価
デメリット
・副作用が強い
(食欲、飲水量、尿量の増加・胃腸が荒れる・肝臓に負担が掛かる・感染症に弱くなる・副腎皮質機能亢進症・糖尿病など)
・投薬をやめると再発する
ステロイドは痒みと炎症を抑えるお薬で、よく効くお薬ですがあくまで対症療法です。
季節性のアトピーの治療などでよく使われますが、
1年中症状がある場合は副作用の心配から他の治療を検討することもあります。
(2)免疫抑制剤
メリット
・ステロイドより副作用が少ない
デメリット
・免疫を抑制してしまう
アレルゲンに対して過剰に反応してしまう免疫の働きを抑えることで痒み炎症を抑えるお薬で、やや高価です。
また有効かどうかの判定には約1ヶ月かかってしまうので、1ヶ月飲ませても効果がないという結果になってしまう場合もあります。
(3)抗ヒスタミン剤
メリット
・副作用が少ない
・安価
デメリット
・効果が弱い
かゆみのもとのひとつであるヒスタミンの働きを抑えて痒みを抑えるお薬です。
軽度のアトピーの際には使用されますが、このお薬単独では効果がでにくいため、あくまでも補助的に使用するお薬です。
(4)減感作療法
メリット
・唯一の根本治療
デメリット
・高額
・実施できる施設が限られる
・注射なので手間がかる
アレルギーの原因物質を避けるのではなく、あえて体に取り込み慣れさせることでアレルギーを起こさないようにするという治療法です。かなり手間が掛かり、決められた回数注射を受けさせることが可能かを考える必要があります。
(5)インターフェロン療法
メリット
・副作用が少ない
・アレルギー体質改善の可能性
デメリット
・注射なので手間かかる
・やや高額
犬のアレルギー体質改善を目的とした治療法で、インターフェロン製剤を注射します。
インターフェロンは元々体内にある物質なので、副作用も少なく安心して使用できます。
始めの一ヶ月間は頻回の注射が必要ですが、効果が現れてきたら間隔をあけていきます。
(6)その他
補助的なものにはなりますが、シャンプーをして体に付いたアレルゲン物質を落とす、
部屋のお掃除をして環境中のアレルゲン物質を減らす、
低アレルゲンな療法食に切り替える、など
愛犬の生活環境に気をつけてあげるだけで、ぐっと症状が緩和されることもあります。
最後に
アトピーはちょっと良くなったかな?...と油断して投薬をやめてしまったりすると
再び悪化してしまったりと、治療には根気と、
ある程度の費用が掛かってしまいますので、治療法を獣医師はもちろん、ご家族とよく相談して治療法を選択しましょう!
あなたの大切な「家族」を守ります