【重度口内炎、舌炎を伴う歯周病】チャイニーズクレステットドッグ 12歳4か月
【重度口内炎、舌炎を伴う歯周病】チャイニーズクレステットドッグ 12歳4か月
よだれ、口からの悪臭で来院されました。
口周り、胸、肢先などの毛によだれによるべとつきが確認できました。
飼い主様のご申告ではご飯は食べているとのことでしたが、半年前に8.84kgあった体重が6.40kgまで減少していました。(体重のおよそ25%減)
重度の口内炎による痛みから十分な食事をとることが出来なかったものと思われます。
痛みが強く、口の中を確認することもできませんでしたが、恐らく抜歯処置が必要であろうと判断し、まずは血液検査等で全身状態の評価を行い、貧血の改善を見て全身麻酔下で処置することとなりました。
【処置直前】
【写真①②】膿状のよだれで口回りが汚れています。
【写真③】歯茎、唇の内側が真っ赤になっているのが確認できます。奥の一番大きな歯の根元かからは膿が出ており、歯茎が退縮してしまっているため本来見えるはずのない根元のほとんどが見えてしまっています。。
【写真④】下の奥歯も根元から膿が出ているのが確認できます。そこに触れる粘膜もただれています。
【写真⑤⑥】舌は表面、左右、裏側、すべてに潰瘍が出来ています。この状態では痛みでご飯をまともに食べられるはずがありません。
【レントゲン写真】(写真左:右上顎奥、写真左:右下顎奥)
上下ともに奥歯がひどい状態です。下顎の骨は非常にも脆くなっているのが確認できます。
何かの拍子で顎の骨が折れてもおかしくありません。
検査前は全抜歯の可能性が高いと思いましたが、思いのほか犬歯等々は温存が可能な程度でした。
【処置直後】
歯石を除去し、治療が必要な臼歯(奥歯)や切歯(前歯)を抜き、温存できる歯は残して口腔内を丁寧に洗浄し、処置を終了しました。
【処置から2週間後】
痛みが消え、口元を触ることができるようになり、口臭もなくなりました。
写真ではわかりにくいですが歯肉や舌の赤みも収まっていす。
痛みがなくなったことで食事をとることができるようになり、処置時に6.7kgだった体重も2週間で7.66kgにまで改善しました。
また、貧血の程度を測るHCTが処置直後に行った血液検査では18.3%でしたが、参考値範囲の39.4%まで回復しました。
【処置から1か月後】
口内炎、舌潰瘍は改善されました。体重もこの子のおよそ理想体重であろう8.16kgまで回復しました。
今後も温存した歯の経過に注意する必要があります。
治療前

治療後
