密着~猫の避妊手術~
密着~猫の避妊手術~
こんにちは。愛玩動物看護師の松田です。
先日我が家の愛猫2匹の避妊手術を行いました。
今回は実際に愛猫二匹が受けた避妊手術当日の流れをご紹介します。
『避妊手術って当日何が行われるの?』
『連れて行って帰るまで、どんな感じなんだろう?』
そんな疑問や不安を、少しでも軽くできたらうれしいです。
①朝は絶食で来院
手術当日は朝から絶食での来院となります。これは麻酔中の誤嚥を防ぐための大切な準備です。
我が家の猫たちは食欲旺盛なので、
『ごはん!!!!!まだもらってない!!!』と朝目覚めてからキャリーに入れるまで
メシくれアピールがすごく、なかなか心が痛みました。
それでも安全に手術を受けてもらうために、心を鬼にして、ぐっと我慢です。

★これから自分の身に何が起こるかも知らず、車内は大騒ぎ。
②お預かり
来院後は洗濯ネットに入れた状態でお預かりします。
これは
・猫ちゃんの逃走防止
・興奮による猫ちゃんと人、双方の安全確保
といった理由から行っています。
ネットに入ることで体を包まれ、気持ちが落ち着く子も多くみられます。

★ご自宅からネットに入れてきていただくのも◎
③麻酔・各種注射・剃毛
今回は注射による麻酔を行います。
同時に抗生剤や消炎鎮痛剤、皮下補液など、
手術中の痛みや術後の不快感をできるだけ減らすための処置を行います。
また、爪切りや術野の剃毛も同時に行います。おへその少しあたりから一番下の乳腺あたりまでツルっと剃ります。
※猫ちゃんの状況に合わせて麻酔や薬の種類は変わります。

★皮下補液中。この後マイクロチップを装着するため通常とは位置を変えて補液しています。
④血液検査/口腔内検査
麻酔がかかった状態で
・採血
・口腔内のチェック/写真記録
を行います。
歯がきちんと生え変わっているか、足りない歯はないか、噛み合わせ・歯肉の状態などを確認し、必要に応じて歯科レントゲンも行います。
※本来は麻酔をかける前に血液検査を行うことを推奨しています。
今回は猫の性格や当日の状況を考慮し、麻酔下での採血・検査を選択しました。検査のタイミングについては猫ちゃんおよび飼い主様の負担を最小限にできる方法を個々にご相談の上決定しています。
猫エイズ・猫白血病の検査
今回は母猫含め野良出身のため、猫エイズ・猫白血病の検査も行いました。
どちらも猫同士で感染する可能性がある感染症です。
月齢が若いうちは母猫からの移行抗体により、正確な結果が出ないこともあるため、検査の時期については獣医師と相談すると安心です。

★検査結果は二匹とも陰性でほっと一安心
⑤避妊手術・歯科レントゲン・マイクロチップ挿入
いよいよ避妊手術に入ります。
当院ではより安全に手術を行うための医療器具を使用して、体内に異物となる縫合糸の使用を少なくなる様に努めています。
今回は手術と同時に
・歯科レントゲン(一匹のみ)
・マイクロチップ挿入
も行いました。
歯科レントゲン
麻酔中に行うことで、猫ちゃんに負担をかけることなく見た目ではわかりにくい歯の状態も確認できます。

★犬歯の後ろの歯が普通ではないのでレントゲンで確認します。

★歯のレントゲン撮影はこのように器具を挿入します。無麻酔では撮影できません。

★どうやら乳歯?が抜けきらず、永久歯と並んで生えているようです。歯の距離が近すぎて乳歯を抜くと永久歯まで抜けてしまう可能性がある為、今回は無処置。歯磨き頑張ります。

★別の歯も見た目では全くわかりませんが、レントゲンを撮ると一番右側に写っている歯の根っこの形が普通ではなかったです。無処置です。
マイクロチップ挿入
マイクロチップは脱走や災害時の身元確認に役立つ大切な備えです。
現在動物取扱業者から引き渡される犬や猫は、マイクロチップを装着したうえで譲渡されることが義務化されています。
そのため、ペットショップやブリーダーから迎えた子は、すでに入っていることがほとんどです。
一方で、保護猫や野良出身の子、制度開始前から一緒に暮らしている子は、未装着のこともあります。
マイクロチップ挿入に使う針は、一般的な注射より太めです。
そのため、麻酔がかかっている手術のタイミングで一緒に行うと、痛みを感じさせることなく挿入が出来ます。

★左が採血や皮下注射等に使用する針。右がマイクロチップの針です。太い…

★キチンと挿入できたか読み取りリーダーで確認します。装着後は証明書をお渡しし、飼い主様ご自身で登録手続きを行っていただきます。
⑥覚醒
手術後は麻酔から覚醒します。
今回はとてもスムーズに覚醒してくれました。
少しづつ意識が戻り、いつもの表情が見えてくる様子にほっとします。
検査の有無や、歯の処置の有無などで手術時間は変わりますが、麻酔をかけ始めてから覚醒まではおよそ1時間ほどでした。
⑦帰宅
状態を確認し、問題がなければその日のうちに帰宅します。
帰宅後は、麻酔の影響が完全に抜けきっていないことがあります。
当日は無理をさせず、静かで落ち着いた環境で過ごせるようにしてあげると安心です。
・ふらつきがないか
・呼吸が落ち着いているか
・食欲があるか
・吐き気はないか
などをそっと見守ってあげてください。
傷口を気にして舐めてしまう子もいます。
エリザベスカラーや術後服の装着は猫ちゃんにとってもストレスになるため、当院では基本的には必要が無いよう処置を施していますが、
あまりにも気にしてしまう子はそれらを使用してあげた方がいい場合もあります。
普段の毛づくろいレベルであれば全く問題ありません。
流石にその日一日はしょんぼりしていることもありますが、翌日には普段通りに戻っていることがほとんどです。
『いつもと様子が違う』『元気がなかなか戻らない』など、すこしでも気になることがあれば、早めにご相談ください。

★二匹ともしょんぼり…お疲れ様。よく頑張ったね。
19時過ぎには普段通りになり、正直『え、今日お腹切ったんだよね?』と何度も確認したくなるほどでした。こちらの心配をよそに走り回る姿に猫の回復力とたくましさを実感しました。

★晩御飯もガツガツ。翌日も特に問題なく元気いっぱいです。
いかがでしたか?
動物医療の現場に携わっていても、いざ自分の愛猫となるとやはり手術前はそわそわしてしまいました。
同じように不安を感じている方、手術を検討している方の参考になっていれば幸いです。
なお、我が家の猫ちゃんは生後8か月で避妊手術を行いました。
避妊去勢の時期は一般的に生後6か月前後が目安とされることが多いですが、
歯の生え変わりや発情・マーキングなどの行動、体格や生活環境によって適した時期は異なります。
『うちの子の場合はどうだろう?』
『一緒にやれる処置はあるかな?』
など、そんな疑問があればいつでもお気軽にご相談ください。
